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代表あいさつ
山形の地域特性を活かしたカーボンニュートラルの山形モデルを発信するために、山形大学カーボンニュートラル研究センター(Yamagata University Carbon Neutral Research Center = YUCaN)準備会を発足しました。
2050年までのカーボンニュートラルの実現には、社会の全てのセクターが様々な方法論で参画し、共同することが不可欠です。総合大学である山形大学の強みを生かし、全6学部から様々な分野の研究者が結集、さらに多数の学外機関とも連携して、新しい課題の発見や文理融合による新しい方法論の獲得を進めていきます。
代表 吉田 司
YUCaN研究センターの構成と将来構想図(2021年5月現在)
YUCaN研究センターの役割
2050年までのカーボンニュートラル社会の実現は、安全安心な幸せの基盤を守り、人類の存亡と持続可能な発展を実現するために、必ず成し遂げなくてはならない世界共通の課題です。再エネの利用拡大やエネルギー消費の低減によるトータルでの「ゼロエミッション」は技術的な挑戦ですが、人類社会の大きな変革には、さらに多くの課題があります。
気候変動抑制や持続可能性への課題を発見し、その解決策を実際に社会還元するまでには、①何が求められているか、②今どうなっていて、今後どうなると予想されるか、③どの様に課題を解決するか、④その費用対効果はどうか、⑤どの様に社会実装を進めるか、の5要素があります。③の技術開発の前に、①社会の声をよく聞き、②科学的根拠があり、④経済的に実行可能で、⑤人々がそれを求め、行政がその環境を整備する必要があります。すなわち、社会の全てのセクターが参加し、共同しなくてはなりません。
総合大学である山形大学の全6学部から、自然科学、社会科学の様々な分野の研究者が集合、さらに「カーボンニュートラル達成に貢献する120大学等コアリション」の学外パートナーと連携し、上記①から⑤の全てに対応します。一点突破を目指して研究者をたし算する従来の研究センターの考え方ではなく、研究者の「かけ算」によって未知の課題の発見やその解決への新しい方法論を生み出します。若手や外国人が多い多様性も重要で、新しい仲間を常に迎え入れ、何度でも再生し、進化し続ける研究センターを目指します。
農業大国であり、森林資源や温泉に恵まれ、超豪雪地帯でもある山形の地域特性に根差した研究開発が本センターの存在意義であると考えます。「健やかな山形」「幸せが続く豊かな山形」を守るカーボンニュートラルの山形モデルを地域社会と協力して確立し、全国、そして世界へと発信します。
健康・食糧・エネルギーを守り抜く
持続可能な幸せの基盤は、健康と食糧とエネルギーです。どれほど凄い物や便利な物を作っても、この3つのエレメントを守らなければ幸せは持続しません。カーボンニュートラル社会とは、最後のエネルギーの問題だけと思われがちですが、実は食糧生産は大量のエネルギー消費に支えられています。気候変動は我々の健康を脅かし、暮らしを営む力を奪いかねません。着実に気候変動が進む将来に、これら全てを守り抜くことがカーボンニュートラル社会の実現なのです。
自然の恵み豊かなこの山形で、太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギー活用を進めることはもちろん、多発する自然災害や温暖化の中で持続可能で安全な循環型食糧生産を実現すること、温暖化で深刻化が懸念される熱中症や感染症の危険から身を守ること、さらに持続可能な地域の素晴らしさを理解し、育み継承する心を育てる先進的な教育まで、健やかで安全安心な笑顔あふれるカーボンニュートラル社会のさきがけになりたいと思います。