先日,環境省から炭素税導入による経済への影響の試算結果が発表されました.
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210619/k10013092711000.html
それによれば,二酸化炭素1トン当たり1万円の場合でもGDPへの影響はマイナス1%未満におさえられるということです.いきなり1万円と言われても,そのイメージを持てない方が多いと思いますが,燃焼工学の基礎知識を用いれば,ざっくりと身近なものに置き換えてその大きさを実感することができます.
ガソリンなどの石油系燃料は直鎖の炭化水素が主成分なので,その分子構造はCnH2nで近似できます.したがって,ガソリンの質量のうちの12/14が炭素のおおよその質量です.(ちなみに天然ガスはメタンが主成分なのでCH4で近似できます.)完全燃焼すればその炭素のすべてが二酸化炭素(分子量44)になるので,ガソリン1キログラムを完全燃焼したときに発生するCO2は44/14キログラムになります.一方,ガソリンの比重は0.75ですから,ガソリン1リットルを完全燃焼して発生するCO2は,
0.75×44/14=2.357 キログラム
ということになります.次にCO2が1トンあたり,すなわち1000キログラムあたりガソリンを何リットル燃やすことになるのかを考えます.
1000/2.357=424 リットル
つまり,ガソリン424リットルを使うとCO2が1トン発生するということになり,それに対して炭素税1万円支払うことになるかもしれない,ということです.これをガソリン1リットルあたりに換算すると,
10000/424=23.6 円
となります.ようするに,ガソリン1リットルあたり23.6円の炭素税が課されることをイメージすればよいといえます.同じような計算をすれば灯油の一斗缶(18L)では452円です.
これらが高いか,十分許容できるか,安いか,私自身の意見はここでは差し控えます.本寄稿をご覧いただいた方それぞれのご判断に少しでもお役にたてば幸いです.
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